
「聞き方」ひとつで変わる。話題の対話型AIを使いこなす質問術
2025/05/14
ここ数年で急によく耳にするようになった、「ChatGPT」や「Gemini」といったいわゆる対話型AI。日常的に使いこなしている方も多いのではないでしょうか。
どんどんメジャーになりつつある技術ではありますが、仕事でそのようなAIを使うのは信頼性の面で抵抗を感じる方や、存在は知っているもののなんとなく難しそうでまだ使ったことがない、という方も一定数いるかと思います。しかし、試してみる価値は必ずある技術です。ポイントを押さえて正しく活用すれば、心強い味方となってくれます。
本記事では、対話型AIをうまく活用するための入門編として、特に大切な「質問のコツ=プロンプトの基本」や利用上の注意点を、具体的な例を交えながらご紹介します。
そもそも対話型AIって何?
対話型AIとは、とても簡単に言うと、「人間みたいに自然な文章で、私たちの質問に答えたり、文章を作ったりしてくれる、コンピューター上のチャット相手」です。
人間との違いは?
人間のように感情を持ったり、本当に「考えて」いるわけではありません。インターネット上の膨大なテキストデータ(ニュース記事、ブログ、書籍など)を事前に学習していて、その知識をもとに、私たちが入力した言葉や質問、指示に対して、最も「それらしい」言葉を予測して、文章を生成しています。そのため、言葉のパターンや文脈を読み取るのに長けています。対話型AIの得意なこと
・文章を作ること (例)メール、ブログ記事、企画書案
・長い文章を要約すること、複雑なことを分かりやすく説明すること
・指示に従って文章の表現を直すこと(敬語にする、箇条書きにするなど)・簡単な翻訳
・アイデアを出すこと
「AI」という響きは大層に聞こえるかもしれませんが、まずは「何か調べ物をしたり、文章作成を手伝ってくれたりする、とても物知りな相談相手」くらいに考えて、気軽に接してみましょう。
なぜ「質問のコツ」が必要なの?
対話型AIを使う上で、一番と言っていいほど大切なのが「質問や指示の仕方」です。これを専門用語では「プロンプト」と呼びます。
なぜこれが大事かというと、AIはこちらの意図を完璧に察してくれるわけではないからです。
例えるなら「新人さんへの指示出し」
新入社員や部署異動したばかりの人に仕事をお願いする時を想像してみてください。「この件、よろしく」だけでは、その仕事の流れや背景を知らない相手は、何をどうすればよいか分かりません。 「〇〇の件について、△△の資料を参考に、□□の形式で報告書を明後日までに作成してください」のように具体的な指示が必要です。
対話型AIも同じで、具体的で明瞭な指示であるほど、私たちが求めている答えや文章に近いものを返してくれます。逆に、指示が曖昧だと、的外れな答えが返ってきたり、「うーん、期待していた回答の形と違う…」ということになりがちです。加えて、私たち人間と違い、AIは声のトーンや表情などで相手の意図を汲むようなことはできません。
つまり、私たちがAIに送る「質問」や「指示」は、AIをうまく動かすための「指示書」のようなもの。この指示書の書き方次第で、AIのパフォーマンスが大きく変わってくるのです。
対話型AIへの質問 基本テクニック
テクニック1:具体的にお願いする
何をしてほしいのか、できるだけ具体的に伝えましょう。
×「AIの使い方について教えて」
→〇「AIが製造業の品質検査でどのように活用されているか、具体的な事例を3つ教えてください」× 「取引先に依頼メール書いて」
→ ○ 「取引先の〇〇様へ、△△の納品が完了したことを報告し、検収をお願いする丁寧なメールを作成してください」× 「会議で必要な業務効率化のアイデアちょうだい」
→ ○ 「来週の部署内定例会議(1時間)で、業務効率化に関する議題を3つ提案してください。今までの例は○○や××など。」
テクニック2:役割を与える
AIに特定の専門家やキャラクターになりきってもらうと、その視点からの回答が期待できます。
×「この文章をチェックして」
→ 〇「あなたは経験豊富な編集者です。以下の記事案を読んで、読者にとって分かりにくい点や改善点を指摘してください。」〇「あなたは人事部の採用担当者です。未経験者向けの事務職の求人票を作成する上で、魅力的に見せるためのポイントを教えてください。」
テクニック3:文脈・背景情報を伝える
何についての質問なのか、どのような状況なのか、前提となる情報を伝えましょう。
×「このツールのメリットとデメリットを教えて」
→ 〇 「当社で新しいITツールの導入を検討しています。導入するメリットとデメリットを、ITに詳しくない経営層向けに分かりやすく説明してください。」〇(長い報告書を貼り付けて)「この報告書の要点を3行でまとめてください。社内向けの週次報告で使います。」
テクニック4:出力形式を指定する
箇条書き、表形式、〇字以内、丁寧な言葉遣いなど、希望する出力の形を指定しましょう。
×「経費精算システムの利用手順をまとめて」
→〇「新入社員向けに、経費精算システムの利用手順を、ステップ形式で、箇条書きで説明してください。各ステップは簡潔にお願いします。」〇「競合製品AとBの機能比較を表形式でまとめてください。比較項目は価格、主な機能、サポート体制です。」
〇「以下のプレスリリースの内容を、社内チャットで共有するために、100字程度のカジュアルな文章で要約してください。」
テクニック5:一発で完璧な回答を期待するのではなく、対話を続ける
最初の回答が期待したものと違っていたとしても、追加で質問したり、指示を修正したりして、対話を続けながら理想の回答に近づけていきましょう。
「もっと簡単な言葉で説明してくれますか?」
「先ほどの回答について、〇〇の観点を追加してください。」
「提案してくれたアイデアのうち、3番目についてより詳しく教えてください。」
これら5つのテクニックは、組み合わせることでさらに効果を発揮します。最初は難しく感じるかもしれませんが、まずは「具体的に伝える」ことと「どんな形式で答えてほしいか」を意識するだけでも、かなり回答結果が変わってきます。

特にこんなことに使える!活用例
1.メールやスピーチなどの下書き
取引先や目上の方にメールを送るとき、どんな言葉で書き始めて、どのように締めくくるべきか迷い、メールを一本打つのに思った以上に時間がかかってしまった…こんな経験ありませんか?また、結婚式の場でスピーチを頼まれたけど、具体的なエピソードなどを盛り込んで上手くまとめる自信も時間もない…など。
このように、「伝えたいことのイメージは固まっているが、適切な敬語や表現で0から書くのが難しい」というときは、対話型AIの出番です。文章の土台を作ってくれるので、その推敲から始めることができ、かなりの時間短縮につながります。最初のプロンプトにおいては、前項のテクニック1:具体的にお願いする を意識しましょう。たとえば結婚式のスピーチであれば、「小学生時代からの幼馴染で、〇歳のとき、こんな出来事があった」といったより詳細なエピソードをAIに与えるほど、解像度の高い回答が期待できます。
2.文章の要約
長い会議の議事録や、送られてきた資料の要点を速やかに把握したい時に便利です。「この文章の要点を500文字以内にまとめて教えて」などと頼めば、自ら資料に目を通すよりも遥かに短い時間で内容を把握することができます。もう少し詳しく知りたい箇所については、追加で「○○の部分をもう少し掘り下げて教えて」と頼むこともできます。
3.複雑な情報の分かりやすい説明
社会保険・税法などの改正や新制度が施行される際、政府や省庁から発せられる文書は煩雑で理解しづらいものが多いです。分かりやすくまとめているWebサイトをいくつも読んで、やっと業務に関係する事柄の概要を掴めたということもあるでしょう。
こんなときも、対話型AIが便利です。「○○についてわかりやすく教えて。業務上、どんな対応が必要になると考えられる?」「△月からこんな変更があったけど、注意すべき点は?」などと質問すると、インターネット上のサイトを大量にリサーチした結果を伝えてくれます。
4.文章の校正・表現の変更
作成した文章の誤字脱字チェックや文法チェックのほか、「もっと柔らかい表現にしたい」「契約書にふさわしい文体にして」といった要望にも応えてくれます。
もちろん、これらはあくまで一例です。ご自身の業務に合わせて、「これにも使えないかな?」と色々試してみてください。
使う前に知っておきたい注意点
とても便利な対話型AIですが、決して万能ではありません。より賢く安全に付き合うために、注意点もいくつかあります。
実は計算が苦手?その理由とは
対話型AIは自然な文章を作るのが得意な一方で、意外にも厳密な計算は少し苦手分野です。
その理由は、冒頭でも述べた通り、基本的に「言葉のパターン」で物事を学習している点にあります。電卓や表計算ソフトとはメカニズムが異なるのです。
対話型AIは、膨大な文章データから「この言葉の後には、こういう言葉が続きそうだ」と予測して、最もそれらしい答えを生成するのが得意です。そのため、例えば「1+1」の答えが「2」になるパターンはよく学習していても、複雑な計算式や桁数の多い計算になると、論理的に一步ずつ計算するというよりは、「見たことがあるパターン」から答えを類推しようとして、間違えてしまうことがあります。
そのため、それぞれのツールの得意分野を理解したうえで、目的に合わせて使い分けることが大切です。対話式AIに複雑な計算の「考え方」や「手順」を説明してもらって、実際の計算はExcelで行う、といった二刀流も便利でしょう。
もっともらしい嘘?「ハルシネーション」に注意
対話式AIを使う上でもう一つ注意したいのが、「ハルシネーション」と呼ばれる現象です。これは、AIが事実に基づいていない情報を、まるで本当のことのようにもっともらしく生成してしまうことを指します。元は「幻覚」という意味の英語で、言葉通り、AIが事実とは違う「物語」を作り出してしまうようなイメージです。
これも、AIが言葉のパターンを学習して「それらしい」文章を生成する仕組みから起こる現象です。学習データに含まれる情報の偏りや、必ずしも最新・正確でない情報をもとに、AIが独自の解釈で話を作り上げてしまうことがあるのです。
重要な情報をAIから得る際は、鵜呑みにせず、必ず他の情報源で裏付けを取る習慣を身につけることが大切です。
このようなハルシネーションのリスクに対応するため、最近の対話型AIでは、生成した回答の信憑性をAI自身がみずからチェックする機能を搭載するものも出てきています。
機密情報は入力しない
会社の機密情報や、お客様の個人情報などを入力するのは絶対にやめましょう。入力した情報がAIの学習に使われてしまう可能性もゼロではありません。会社のセキュリティポリシーなどを確認し、ルールを守って利用することが大切です。
AIはあくまで「アシスタント」です。便利なツールですが、最終的な判断の責任は私たち人間にあります 。AIが出した文章をそのまま使うのではなく、必ず自分の目で確認し、修正や加筆を行うようにしましょう。あくまで「下書き」「たたき台」を作ってもらう感覚で使うのが適切です。

まとめ ~まずは気軽に試してみよう!~
今回は、対話型AIを仕事で活用するための入門編として、特に「質問のコツ」に焦点を当ててご紹介しました。
対話型AIは「とても物知りな相談相手」
うまく活用するには「指示の出し方・質問の仕方」が重要
基本テクニックは「具体的に」「役割を与える」「文脈を伝える」「形式を指定する」「対話を続ける」
ただし、「情報の正確性」と「機密情報」には要注意!
「AIってなんだか難しそう…」と思っている方も、まずは簡単な質問から試してみてはいかがでしょうか? きっと、あなたの仕事をサポートしてくれる頼もしいパートナーになってくれます。

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