
SaaSのランニングコストは本当にデメリット?その真価を徹底解説!
2024/09/17
現代のビジネス環境では、SaaS(Software as a Service)が注目を集めています。SaaSとは、インターネットを介して提供されるソフトウェアサービスのことで、従来のパッケージソフトウェアとは異なり、サブスクリプション方式で提供されるのが特徴です。しかし、「毎月ないしは毎年支払いが発生するのに、なぜSaaSを使うのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、SaaSの持つメリットと、ランニングコストの考え方について詳しく解説していきます。
SaaSとは?
SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをインターネット経由で提供する形態の一つです。従来のソフトウェアはPCやサーバーにインストールしたうえで利用するのに対し、SaaSはブラウザを通じてソフトウェアを利用することができます。これにより、ユーザーはインストール作業やバージョンアップの手間を省き、常に最新の機能を利用することができます。
SaaSと非SaaSの例
SaaS | 非SaaS | |
|---|---|---|
表計算ソフト | Google スプレッドシート | Microsoft Excel |
会計ソフト | freee | 弥生会計 (デスクトップ版) |
CRM (顧客管理システム) | Salesforce | Microsoft Dynamics CRM |
SaaSのメリット
では、SaaSの具体的なメリットについて見ていきましょう。
継続的なアップデートがある
SaaSの最大の魅力の一つは、継続的なアップデートが提供されることです。セキュリティの向上や新機能の追加、バグ修正などが自動的に行われるため、ユーザー側での対応が必要ありません。従来の買い切り型ソフトウェアでは、ユーザーが自分でバージョンアップを行う必要があり、その都度追加の費用が発生することもありました。
(例:MicrosoftのOffice 2010からOffice 2013へのアップデート)
一方で、SaaSの場合は提供元であるSaaSプロバイダーが常に最新の状態を保つため、ユーザーは安心して使い続けることができます。
解約の柔軟性
SaaSは「いつでも解約できる」(*1) という柔軟性も魅力の一つです。従来のソフトウェアは初期費用が高額で、一度購入すると解約は難しいものでした。さらに、買い切り型ソフトウェアの場合、企業は資産としてその購入費用を計上し、法定耐用年数に基づいて減価償却を行います。このため、予定していた使用年数よりも早くソフトウェアの利用を中止すると、減価償却分のコストが無駄になる可能性があります。
しかし、SaaSは月額や年額での支払いが一般的であり、必要な期間だけ利用することが可能です。このため、小規模なビジネスや新たなプロジェクトを開始する際にも、初期費用を抑えることができます。
*1: 最低利用期間などが設定されている場合もあります。
導入が容易
SaaSの導入は非常に簡単です。従来のソフトウェアでは、PCにインストールするための操作が必要で、場合によっては専任のIT担当者が必要なこともありました。しかし、SaaSはインターネットを介して提供されるため、ブラウザがあればすぐに使い始めることができます。
これにより、企業は迅速に新しいソフトウェアを導入し、即座に業務を開始することが可能になります。
ユーザー間での連携がしやすい
SaaSはインターネットを介して提供されるため、データはクラウド上に保存されます。これにより、複数のユーザーがリアルタイムでデータにアクセスし、共同作業を行うことができます。
例えば、Word文書を更新して誰かと共有する際、メールで送信する必要があった時代と比べ、SaaS型で提供されるMicrosoft 365では常に最新の文書を閲覧できます。そのため、「手順書2024更新版.docx」「手順書最新版.docx」のように似たファイル名のデータが乱立してどれが最新なのか分からない、といった問題がなくなります。
サポート・CSの充実
ビジネス向けSaaSは多くの場合、サポートも提供しています。また、単にソフトウェアの使い方に関するサポートだけでなく、CS(カスタマーサクセス)と呼ばれる専門のチームが、ユーザーをサポートするための支援を行うことがほとんどです。カスタマーサクセスチームは、ユーザーがSaaSを効果的に活用し、最大限の成果を上げられるようにサポートする役割を果たします。上述の通り、SaaSは解約の柔軟性があるからこそ、SaaSプロバイダーは継続して利用してもらうべく、カスタマーサクセスに力を入れています。
具体的には、ユーザーのニーズやビジネス目標に応じて、最適な機能の使い方を提案したり、カスタマイズされたトレーニングを提供したりします。また、定期的なレビューを通じて利用状況を分析し、さらなる改善点を提案することで、ユーザーの満足度向上や業務効率の最大化を図ります。さらに、新機能の追加や製品のアップデートがある際には、その情報を迅速に提供し、ユーザーが常に最新の機能を活用できるように支援します。
このようなカスタマーサクセスの取り組みにより、ユーザーはSaaSを導入した後も安心して使い続けることが可能です。
保守管理の負担を軽減できる
SaaSのもう一つの大きなメリットは、保守管理の負担を軽減できる点です。従来のソフトウェアでは、バグ修正やセキュリティホール対応のアップデートをユーザー側で実施する必要がありました。しかし、SaaSの場合、これらの改修やメンテナンスはSaaSプロバイダー側が責任を持って行います。そのため、ユーザーは保守管理を気にすることなく、常に最新の状態でソフトウェアを利用することができます。

SaaSの料金体系について
SaaSの料金体系は柔軟で、多様なビジネスニーズに対応しています。ここでは、いくつかの一般的な料金体系について説明します。
従量課金制
従量課金制は、実際に利用したリソースやサービスの量に応じて料金を支払う方式です。この料金体系は、初期費用を抑えたい企業や、期間によって利用量が変動するケースで特に有効です。これは、開発者向けのサービスに多く採用されており、APIリクエストの回数や利用時間などに応じて課金されます。利用が少ない場合はコストを抑えられ、必要に応じて柔軟に拡張できます。ただし、使用量が急増した場合、コストもそれに応じて増加するため、注意が必要です。
Twilio: 通信APIサービスを提供し、SMSの送信数や音声通話の時間に応じて課金されます
Algolia: 検索機能を提供するAPIで、検索リクエストの回数や検索結果の数に基づいて課金されます
ユーザー数課金制
ユーザー数課金制は、利用者の数に基づいて料金が決まる方式です。多くのビジネス向けSaaSツール、例えばプロジェクト管理ツールやドキュメンテーションツールでは、この料金体系が一般的です。各ユーザーごとに料金が発生するため、チームの規模に応じた柔軟な予算管理が可能です。ただし、大規模なチームの場合、コストが増大してしまうでしょう。
Slack: チーム向けのメッセージングおよびコラボレーションツールで、アクティブメンバーの数に応じて課金されます
Notion: ドキュメント管理やプロジェクト管理などを一つのプラットフォームで提供するオールインワンの生産性向上ツールで、ユーザー数に応じて課金されます
定額制(サブスクリプション)
定額制(サブスクリプション)は、月額や年額の固定料金でサービスを利用する方式です。この料金体系は、予測可能なコストで安定したサービスを利用したい企業に向いています。例えば、企業情報データベースを提供するサービスなど、毎月一定の費用で利用できるSaaSがこれに該当します。長期的に利用する場合や、利用頻度が高い場合には、コストパフォーマンスが向上することがあります。
STUDIO: ノーコードWeb制作プラットフォームで、1プロジェクト(サイト)ごとに月額もしくは年額での固定料金となっています
Musubu: クラウド型の企業情報データベースで、プラン毎に月額料金が設定されています
ハイブリッド課金制
ハイブリッド課金制は、上記の複数の料金体系を組み合わせたものです。例えば、基本料金に従量課金を組み合わせたり、ユーザー数と使用量に基づく料金を設定したりします。これにより、企業は自分たちのニーズに最も適したプランを選ぶことができます。様々な業種や企業規模に対応できるため、多くのSaaSプロバイダーが採用しています。
Intercom: 企業が顧客とのコミュニケーションを管理・改善するためのメッセージングプラットフォームで、1ユーザー(Seat)あたりの基本料金に加えて、AIによる自動応答の成功数やSMSの送受信数による従量課金が設定されています
IVRy: 対話型音声AIによる電話応答の自動化を行うSaaSで、月額の基本料金に加え、電話転送は分あたりの従量課金、Slackへの通知連携は月額制のオプションで提供するなど、機能ごとに細やかに料金が設定されています
SaaSは始めやすい
SaaSはその導入の手軽さを活かし、無料で試せる「無料トライアル」や、基本機能を無料で使える「フリーミアム」といったプランが提供されていることが多く、非常に始めやすいのが特徴です。これにより、ユーザーはリスクを最小限に抑えながら、新しいサービスを簡単に導入することができます。
無料トライアル
無料トライアルは、一定期間(通常7日〜30日間程度)無料でサービスを試用できる制度です。ユーザーにとって、これはソフトウェアの機能や使い勝手をじっくりと確認し、実際の業務に合っているかを体験できる絶好の機会です。導入前にリアルな使用感を得ることで、購入後に「思っていたものと違った」というギャップが発生するリスクを回避できます。特に、複数のSaaSを比較して最も適したソリューションを見つけたい場合は、この無料トライアルが一助となるでしょう。
フリーミアム
フリーミアム(Freemium)は、「free(無料)」と「premium(高機能・上位)」を組み合わせた造語で、基本機能を無料で利用できるモデルです。これにより、ユーザーは初期投資なしでサービスを試すことができ、必要最低限の機能をすぐに使い始めることができます。ユーザーにとっては、業務の効率化や生産性向上を実感しやすいというメリットがあります。また、フリーミアムであれば、まずは無料版を使い始め、業務の成長やニーズに応じて必要な時に有料のプレミアム機能にアップグレードするという柔軟な対応が可能です。ユーザーは無駄なコストをかけずに、自分に最も合った機能だけを選んで利用することができます。
SaaSのデメリットとその対策
SaaSには多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。例えば、データのセキュリティやSaaSプロバイダーへの依存性などが挙げられます。これらのリスクを軽減するためには、信頼性の高いプロバイダーを選ぶことが重要です。また、サービスの利用規約やセキュリティポリシーを確認し、自社のニーズに合った対策を講じることが求められます。
「ランニングコスト」はデメリットか?
個人向けのサービスでは、月額や年額で料金を支払う「サブスクリプション」が一般的になりつつありますが、企業向けのサービスとしてSaaSを導入する際、「ランニングコスト」がデメリットとされることがあります。しかし、SaaSのコスト構造を正しく理解すれば、それが単なるデメリットではなく、むしろビジネスにとって有益な選択肢であることがわかります。
設備を買い切るか、リース契約するか

買い切り型ソフトウェアを「機械や設備を一括購入すること」に例えて考えてみましょう。
例えば、製造業の現場で新しい機械や設備を一括購入する場合、最初に大きな資金が必要です。購入後、その機械のメンテナンスや修理、更新にかかるコストも全て自社負担となります。また、新しい技術が登場したり、業務でのニーズが変わったりした場合は、その古い機械を使い続けるか、新しい設備に買い替えるかの選択をしなければなりません。
このように、初期投資の大きさとその後の維持管理にかかるコストやリスクは企業の負担となります。
一方、SaaSは「設備のリース契約」に例えられます。
設備のリース契約では、月額または年額のリース料を支払うことで、初期費用を抑えて最新の設備をすぐに利用できます。また、設備のメンテナンスや修理、更新もリース会社が提供するため、予期しない修理費用やダウンタイムのリスクを最小限に抑えることができます。さらに、リース期間が終われば、より新しい機械や技術に簡単に切り替えることができるため、常に最新の設備を低コストで利用できるだけでなく、ビジネスの変化に迅速に対応できる柔軟性も得られます。
このように、SaaSも「設備のリース契約」と同様、初期費用の削減・アップグレードの手間の省略・継続的なメンテナンスが可能な手段と捉えることができます。また、必要に応じて簡単に拡張や縮小が可能で、ビジネスニーズの変化にも柔軟に対応できます。
特に、AIなどの進化の速い技術については、常に最新のものを利用できるという点で大きなメリットを提供します。
以上が、SaaSが買い切り型ソフトウェアよりも優れている理由の一つです。
したがって、SaaSの月額費用・年額費用を単なる「ランニングコスト」という視点で捉えるのではなく、長期的なコスト削減や業務の柔軟性につながる戦略的な選択肢と考えることが重要です。
まとめ
SaaSは、初期費用の削減、継続的なアップデート、導入の容易さ、ユーザー間での連携のしやすさ、保守管理の省力化といった多くのメリットを提供します。
SaaSのランニングコストはデメリットとされることもありますが、最新技術の迅速な導入やニーズの変化に対応できる柔軟性を考慮すれば、むしろ長期的なコスト削減やビジネス成長に繋がる投資と言えます。
SaaSは、競争力を維持し成長を加速させるための戦略的な選択肢であり、これからも企業にとって重要なサービスであり続けるでしょう。

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