
AIが検査しやすい写真を撮ろう!外観検査のための照明の選び方
2024/10/03
高精度かつ高ロバストな自動外観検査を実現するためには、不良を明確に確認しやすい画像を取得することが不可欠です。
しかし、適切な画像を得るためには、単に高性能なカメラを使用するだけではなく、適切な照明を選定することが重要です。 照明は、検査対象物の微細な欠陥や色の違い、表面の不均一性を鮮明に浮かび上がらせる鍵となります。
適切な照明環境を構築することで、AIによる画像処理の精度を最大限に引き出し、欠陥の見逃しや誤検出を防ぐことが可能となります。 本記事では、外観検査における照明の役割と、その最適な選び方・組み合わせ方について詳しく解説します。
外観検査における照明の役割
照明が画像品質に与える影響
照明は、撮像される画像のコントラスト、明るさ、色合いなど、画像品質のあらゆる側面に影響を与えます。適切な照明を使用しなければ、微細な欠陥が背景に溶け込んでしまい、検出が困難になることがあります。逆に、過剰な反射や影が生じると、誤検出の原因となります。
コントラストの重要性
外観検査においては、見たい部分とその他の背景部分のコントラストがつくような写真を撮ることが非常に重要です。コントラストが高い画像は、欠陥や異常を明確に浮かび上がらせるため、検出精度が向上します。逆に、コントラストが低いと、微細な欠陥が見逃される可能性が高くなります。
例えば、暗い背景に対して明るい照明を当てれば、見たい部分と背景部分のコントラストを調整し、対象物の輪郭や表面の異常を強調することができます。適切な照明を選定し、最適な検査環境を構築することは、検査の信頼性を高めるうえで非常に重要です。
照明の原理
検査対象に合わせた照明選定を行うためには、照明・撮像の原理を理解することが重要です。ここでは、基本的な概念を解説します。

反射光と透過光
照明から発せられる光は、対象物表面で反射、あるいは対象物を透過してカメラに到達します。
反射光
反射光は、光が物体の表面に当たったときに反射される光のことです。反射光は、その反射の仕方に応じて、さらに2つに分類できます。
正反射光
正反射光は、光が平滑な表面に当たったときに、入射角と同じ角度で反射される光です。平滑な面、光沢のある対象は光を正反射させます。
拡散反射光
拡散光は、光が粗い表面に当たったときに、様々な方向に散乱する光です。粗い面、光沢がなくざらざらした対象などは、光を拡散反射させます。
透過光
透過光は、光が対象物を通り抜けてカメラに届く光です。対象物が半透明や透明であれば、内部の構造や欠陥を明確に映し出すことができます。
暗視野と明視野
以上3つの性質の光をコントロールすることで、検査対象の見たい部分と背景部分にコントラストをつけ、区別することができます。また、撮像方法によって大きく次の2つに分けられます。
コントラストが大きくなるように、撮像方法を検討する必要があります。

明視野
明視野は、対象物からの正反射光を捉える撮像方法です。正反射された光が直接カメラに入るため、明るい背景に対象物の詳細が写ります。例えば、金属表面の傷や汚れの検査などに活用され、明るい金属素地に傷や汚れが暗く写し出されることで、その存在が強調されます。
暗視野
暗視野は、対象物からの拡散反射光を捉える撮像方法です。正反射した光ではなく、拡散光がカメラに入るため、背景が暗く写ります。対象物のエッジ形状が強調されるため、欠けや刻印などの検査に活用されます。
外観検査で使われる照明の種類と特性
外観検査においては、照明の形状や配置、波長や色を適切に選定することが重要です。
照明の種類によって、様々な効果を得ることができるため、検査対象や不良の種類に応じて適切な照明を選択することで、検出精度を向上させることができます。
ここでは、一般的に使用される照明の種類とその特性について解説していきます。
照明の形状
リング照明

リング照明は、リング状に光源が配置された照明で、照射範囲内を均一に照らすことができます。
また、光源の角度や検査対象物との距離によって、対象物の凹凸を強調するような写真を撮ることもでき、幅広い用途で活用することができます。
適用例
電子部品のはんだ付け検査、精密機械部品の寸法検査、プリント基板のパターン検査など
ドーム照明

ドーム照明は、半球状のカバー内部に照明を配置し、全方向から拡散した光を照射します。
様々な方向から光を照射することで、凹凸のある形状にも均一に照らすことができるため、ハレーションや影のない写真を撮ることができます。光沢のある表面や曲面の検査に適しています。
適用例
自動車部品の塗装検査、プラスチック製品の表面品質検査、医療機器の外観検査など
バー照明

バー照明は、直線状の細長いライトで、特定の方向から強い指向性の光を照射します。対象物の表面のテクスチャや微細な凹凸を強調するのに適しており、傷やへこみなどの欠陥検出に効果的です。
適用例
金属部品の傷検出、ガラス製品の割れやかけの検査、包装フィルムのシワや異物検出など
同軸照明

同軸照明は、ハーフミラーを用いてカメラの光軸と同軸上に光を照射します。平滑な表面からの正反射光を捉えることができ、微細な傷や汚れ、表面の欠陥を検出するのに適しています。
適用例
ウェハーや液晶パネルの表面検査、金属板の傷検出、印刷物の品質検査など
光の波長と色
照明の波長や色温度を適切に選ぶことで、対象物の特定の性質を強調したり、周囲の影響を排除したりできます。
赤外線照明
赤外線照明は、可視光よりも長い波長(近赤外線)を使用します。材料の内部構造や表面下の欠陥を検出するのに有効であり、プラスチックやゴム製品、食品の異物混入検査などに活用されます。
適用例
食品の異物検査、液体製品の異物混入検査など
紫外線照明
紫外線照明は、可視光よりも短い波長を使用し、一部の材料が紫外線を吸収または蛍光発光する特性を利用します。目視では見えない微細な傷や汚染、特定のコーティング不良などの検出に効果的です。
適用例
プリント基板の微細パターン検査、医薬品の異物混入検査、セキュリティ印刷の確認など
カラーフィルター
カラーフィルターは、特定の波長(色)の光を透過させないことで、検査に不要な色を除去することができます。
適用例
印刷物の検査など
偏光フィルター
偏光フィルターは、特定の振動方向の光を通過させ、他の振動方向の光を遮断します。これにより、反射光やグレアを抑制することができます。
適用例
プラスチック製品のストレス検査、ガラス表面の検査など
特殊な照明と画像処理
特殊な照明と専用のカメラや画像処理を組み合わせることで、より高度な画像を取得することができます。
縞投影による3D形状測定
縞模様を対象物に投影し、その変形量を計測することで、3D形状を測定することができます。
微細な凹凸の変化を計測するのに役立ちます。
適用例
塗装製品の表面検査、電子部品の寸法検査など
マルチスペクトルイメージング
異なる波長の照明を用いて複数の画像を取得し、それらを解析することで、材料の特性や欠陥を詳細に検出できます。これにより、目視では見えない欠陥の検出や、材料の識別が可能となります。
適用例
プラスチック製品の表面検査、ガラス製品の形状検査、電子部品の寸法検査など
分割照明と画像合成
複数の方向から別々に照明を照射した画像を合成することで、ハレーションを除去したり、表面の微細な凹凸を強調することができます。
適用例
金属部品の表面検査、プラスチック製品の表面検査、ガラス製品の表面検査など
照明選定の流れ
ここまで説明したような照明の特徴を踏まえて、検査対象に適した照明を選定する必要があります。
検査対象物の特性を理解する
照明を選定する際には、検査対象物の材料、形状、色、表面状態などを十分に理解することが重要です。例えば、光沢のある金属とマットなプラスチックでは、反射特性が異なるため、適切な照明も異なります。
検出すべき欠陥の種類を明確にする
傷、汚れ、変色、寸法不良など、検出すべき欠陥の種類に応じて、最適な照明や撮象方法が異なります。欠陥を最も効果的に強調できる照明条件を選択することが重要です。
照明とカメラの位置関係を最適化する
照明とカメラの位置関係を調整することで、コントラストや影の出方を制御できます。試行錯誤を繰り返し、最適な配置を見つけることが重要です。
まとめ
AI画像検査では、AIそのものの性能だけでなく、AIに質の高い画像を学習させることが重要です。そのためには、照明技術を活用し、不良を確認しやすい画像を取得する必要があります。
様々な照明の特性を理解し、検出対象にあわせて適切な照明を選定していきましょう。
弊社では、画像検査AIをノーコードで導入できるプラットフォーム「TechSword Vision」のご提供から、検査対象に合わせた照明選定まで、幅広く製造業様のサポートを行っています。
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