ノーコード?SaaS?画像認識AIを導入するなら知っておきたいIT用語を紹介

2024/08/20

製造業において「AIによる外観検査を導入したい!」となったとき、AIに関するIT製品を提供している会社や、そのサービスの内容について、いろいろと調べてみるのではないかと思います。

担当者がITやエンジニアリングの専門ではない場合、その過程で「よくこのワードを見かけるけど、結局どういう意味なんだろう?」と疑問に思う用語があることでしょう。複数社の製品・サービスを比較したり、導入しようとするサービスの提供元の会社と打ち合わせをして意向をすり合わせたりするためには、ITやAIまわりの最低限の知識が必要です。

今回は、AIを導入しようと検討した際によく耳にするIT関連用語を、できるだけ平坦でわかりやすい言葉で解説していきます。

ITベンダー・クラウドベンダー

まず、冒頭でも言及した「AIに関するIT製品を提供している」ような会社のことを、一般的にITベンダーと呼びます。元々、「ベンダー」とは販売業者という意味であり、ハードウェアやソフトウェアといった情報技術関連のIT製品の開発およびサービスの提供をする会社のことを指して使われることが多いです。

ITベンダーが提供する製品・サービスの例

  • コンピューターやサーバー

  • 業務用ソフトウェアの開発および販売

  • ネットワークやセキュリティ対策の構築 

同じようによく利用され、ITベンダーと似ている「クラウドベンダー」という用語もあります。クラウドベンダーをごく簡単に説明すると、インターネット上で、データ保存やプラットフォーム開発のための土台となる場所を提供している会社という感じです。

クラウドベンダーが提供するサービスの例

  • Google Drive や Dropbox のようなクラウドストレージサービス

  • Amazon Web Services のようなクラウドコンピューティングプラットフォーム(※1)

  • Office365 や Slack などのアプリケーション

ITベンダーが物理的な設備やインストール型のサービスを提供するのに対し、クラウドベンダーはインターネットを通じたクラウドベースのサービスという、物理的な実態のないものを提供している場合が多いです。

両社はそれぞれ異なるニーズに応じたサービスを提供していますが、重複する部分もあります。そのため、ITベンダーとクラウドベンダー両方の性質を持つ会社もあり、また、ITベンダーがクラウドベンダーの顧客にもなります。(当然、その逆も然りです。)

※1: クラウドコンピューティングプラットフォーム
プラットフォームとは、ソフトウェアやハードウェアなどを正常に動かすのに必要な基盤となる環境のことで、花を育てる植木鉢の土部分のようなイメージです。つまり、旧来は花を育てるためにまず購入しなければならなかった植木鉢や土ごと、お金を払ってインターネット上から借りる形態のことを指します。ハードウェアやサーバーを自社で保有・運用する手間がかからないため、現代において企業のITリソースの定番となっています。

クラウドコンピューティングには、主にSaaS・PaaS・IaaS の3つのサービスモデルがあります。次章ではこの3つについて説明します。

クラウドコンピューティングの3大サービスモデル

IaaS(Infrastructure as a Service)

コンピュータの基盤となるインフラをインターネット経由で提供するサービスモデルです。ユーザー側は基盤の提供を受け、その先の仕様を自由に構成できるため、自社のニーズに合わせたシステム開発が可能です。カスタマイズ性が高い反面、運用やメンテナンス及びセキュリティ対策には専門的な知識が必要になります。

PaaS(Platform as a Service)

アプリケーションを開発・実行するためのプラットフォームを提供するサービスモデルです。IaaSの場合はサーバーやネットワークの管理が必要ですが、PaaSの場合はそのようなインフラの「管理」は不要であるため、アプリケーションの設計や開発に集中することができます。

SaaS(Software as a Service)

ソフトウェアをインターネット経由で提供するサービスモデルのことを一般にSaaSと呼びます。ユーザーは、特定のソフトウェアを自分のコンピュータにインストールすることなく、Webブラウザを通じてサービスを利用できます。ユーザー側でのシステム更新作業が不要で、月額や年額のサブスクリプション料金で利用可能なため、初期コストをおさえて導入することができます。
その反面、カスタマイズ性は低く、SaaSベンダーが定めた範囲で機能が提供されるため、自社のニーズを完全に満たすことは難しいです。

例: Gmail、Slack、Office365、freee といったアプリケーション

外観検査の自動化を検討するなかで、「ノーコードで開発が可能」と謳っている製品・サービスを見る機会があるでしょう。これらの製品・サービスで、年間月間のサブスクリプションて提供されるものはSaaSに該当します。
では、この「ノーコード」とはどういう意味なのでしょうか。

ノーコード

通常、Webサービスやアプリケーションの開発は、ソースコードを書いて進められていきます。ソースコードとは、プログラムに対する指示をプログラミング言語という専門の言語で書いたテキストのことです。

プログラミングと聞くと思い浮かぶ、以下のような画面に写っているテキストがソースコードです。

実現したいサービスをプログラムを書いて構築していく作業は、非常に専門的な知識が必要です。そのため、「AIによる外観検査を導入したい」となったとき、自社の中でプログラミングができる社員を育てる、もしくはその目的のために新しい社員を雇うというのは現実的ではありません

そこで、昨今注目が集まりつつあるのがコードを書かないことを意味する「ノーコード」な特徴を持つサービスです。

AI開発の工程で専門知識が必要な部分(プログラムを書くなど)を、サービス提供元のITベンダーもしくはクラウドベンダーが担うことで、ユーザー側は専門知識なしで自社の目的に沿ったアプリケーションやWebシステムを開発することができます。このようにノーコードで利用できる開発プラットフォームは、前章で説明したとおりクラウドコンピューティングのサービスモデルのうちの「SaaS」に該当します。

外観検査とAI

外観検査とは品質検査の一種で、製品の表面や見た目の状態を検査する工程です。製品に傷や汚れ、変形、欠け、色ムラなどの視覚的な不良がないかを確認し、製品が規定の品質基準を満たしているかを判断します。安全で満足度の高い製品を消費者に届け、企業のブランド価値や信頼を保つために製造業では欠かせない工程です。
近年、この外観検査の工程の効率化を目指して自動化が進んでいます。

外観検査の自動化に関して、よく耳にする「画像認識AI」と「ディープラーニング」について、本章で解説していきます。

画像認識AI

画像認識とは、コンピュータが画像や映像から物体・パターンを識別する技術のことで、コンピュータビジョンとも呼ばれます。上記のように製品の外観検査で不良品を検出する目的のほか、自動運転技術での障害物検出や医療用画像分析といった用途でも利用されています。

この技術は、カメラやセンサーから取得した画像データを解析し、その中から特徴を抽出して、対象物を識別・分類するという仕組みで動作します。
特徴の抽出のための分析作業に非常に手間がかかる上、その精度が専門家のスキルに大きく依存してしまうのが従来の課題でした。

しかし、後述のディープラーニングの進化により、画像認識AIの精度と開発効率は飛躍的に向上しました。

ディープラーニング

画像認識AIが「識別するための技術」であるのに対し、ディープラーニングは「識別したものを学習・分析する技術」です。
ディープラーニングは機械学習のアルゴリズム(課題を解決するための手法や手順のこと)の一種で、人間の脳の神経回路を模倣した「ニューラルネットワーク」を多層に重ねた構造(ディープニューラルネットワーク)を持っています。これにより、非常に複雑なデータのパターンを自動的に学習・認識できる点が特徴です。

特徴の抽出および分類という、画像認識AIの開発のなかで一番手のかかっていた工程を一貫して自動でおこなうことが可能となったのです。

画像認識AIとディープラーニングの関係性

ディープラーニングと組み合わせることで、画像認識AIの能力は飛躍的に向上しました。画像データを自動的に解析し、膨大なデータセットから特徴を学習し、複雑なパターンを高精度で認識することができます。この結果、顔認識や物体検出、医療画像診断などの分野で、人間の専門家を超える精度を達成するケースも増えています。

さらに、ディープラーニングを利用した画像認識AIは、AIが新たなデータを継続的に学習することで、その認識能力が時間とともに向上していくという特長もあります。これにより、新しいパターンや例外にも従来より迅速に対応ができるようになりました。

AIを利用した外観検査のメリット

以上のような特長を活かし、画像認識AIが製造業における外観検査の自動化のために導入される事例が増えています。

  1. 高精度で一貫性のある検査ができる
    人間の検査員が長時間にわたり作業を続けると、疲労や注意力の低下により検査の精度が一時的に下がったり、個々の検査員による検査基準のばらつきが起こることがあります。その点、AIは常に一貫した品質と基準で検査をおこなうことが可能です。

  2. 24時間稼働による生産性の向上
    人間の労働力と違い、AIは24時間稼働することが可能であるため、納期の短縮や人件費を主としたコスト削減につながります。

  3. 継続かつ安定したデータ収集と分析ができる
    AIを用いると、検査結果をリアルタイムでデータ化し、即座に分析することが可能です。不良の原因を特定し、製造プロセスの改善に寄与するとともに、データを蓄積して継続的に分析することで、さらなる品質向上や生産効率の向上につなげることができます。

画像認識AIを使った外観検査を製造業のラインに導入する際、取得した画像データをその場で処理する「エッジデバイス」を現場に置くのが一般的です。

エッジデバイス

エッジデバイスとは、データ処理を行う機器が、データが収集される場所すなわち現場に近い位置にあるデバイスのことを指します。現場で収集したデータ・入力されたデータを中央に位置するクラウド (クラウドサーバーやデータセンターなど) に送ることなく、その場でリアルタイムにデータを処理します。

エッジとは「末端」という意味を持ち、エッジデバイスに相対する位置にあるものとして前述のサーバーやクラウドサービス、データセンターが挙げられます。
エッジデバイスを利用した外観検査AIを導入するメリットは主に以下の通りです。

  1. リアルタイム処理が可能
    外観検査のためにAIを導入するなら、流れてきた製品がOKかNGかという判定には迅速さが求められます。エッジデバイスであれば、データをクラウドに送信して処理結果を待つ必要がないので、このニーズを満たすことができます。

  2. 通信コストの削減と遅延の防止
    クラウドにデータを送る必要がないため、通信コストの削減および通信に伴う遅延のリスクも減少します。少しの遅延が品質や安全性に直結する製造現場において、この点は大きなメリットです。

  3. セキュリティの向上
    データが外部のクラウドに送信されることがないため、漏洩や通信傍受といったリスクの低減につながります。

一方、現場に近い場所でデータを処理する分、導入や管理にあたっては専門的な知識が必要になるというデメリットもあります。また、性能の良い高度なデバイスを求めるほど、そのコストは大きくなります。

エッジデバイスをラインに導入する仕組みやその詳細については、下記の記事でも詳しく解説しています。

参考:エッジAIはなぜIoT技術と相性が良いのか?具体的な構成例も紹介

TechSword Vision について

今回の記事では、AIによる外観検査の自動化を検討するなかで耳にする用語について解説しました。

株式会社TechSwordは、画像認識AI開発プラットフォームをSaaSとして提供している会社です。

弊社が提供するサービス『TechSword Vision』は、ノーコードで誰でも画像認識AIを開発でき、現場に設置したエッジデバイスへ簡単なマウス操作でインストールが可能です。専門知識を持つ人材が自社にいなくても、簡単に画像データをAIに学習させ、目的に沿ったAIを開発することができます。

AIエンジニアの稼働が必要ないため初期コストも小さく、これからAI検査を始める場合におすすめとなっております。

ご興味がある場合は、ぜひ詳細なサービス説明資料をご請求ください。

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また、具体的な導入事例や導入後の流れについても、ご希望に応じて説明させて頂きます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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