外観検査におけるルールベース検査とAI検査の違いとは?メリット・デメリットを解説

2024/06/07

製品の表面を見て、傷や汚れなどの異常がないかチェックする工程を「外観検査」と呼びますが、この自動化手法には大きく「ルールベース」と「AI」の2つがあります。

この記事では、それぞれの手法の説明やメリットとデメリットを解説し、両者を比較します。また、それぞれの手法が適する具体的な例をご紹介していきます。

品質保証の自動化の重要性

品質保証は信頼性やブランドの価値を守るために重要です。DXが事業発展の鍵となる昨今、この検査工程の自動化は様々なメリットがあります。

製造効率の改善

自動化された検査は、人手による検査に比べより早いスピードでより多くの製品を捌けるなど、効率が大幅に改善できます。自動化された検査システムは休みなく動作させることができるため、生産量を大きく向上させることが可能です。

また、検査工程のボトルネックを解消することで、全体的な製造リードタイムの短縮にも貢献します。

さらに、人手では見落としがちな微細な欠陥も見逃さず検出できるため、手戻りや再作業の発生を防ぎ、工程全体の効率化を図ることができます。

精度の向上

センサや検出方法を工夫することで、人の目では見逃してしまうような微細な欠陥を検出できるなど、精度の向上が期待できます。

また、自動化された検査システムは、人間の主観的な判断によるばらつきを排除できるため、検査結果の再現性と一貫性も向上します。

ランニングコストの削減

初期費用こそかかるものの、安定稼働に入ればランニングコストの削減も見込めます。

自動化された検査システムは、一度設置すれば長期間にわたって安定的に動作するため、人件費や教育費用などの継続的なコストを大幅に抑えることができます。

また、検査の高速化により生産性が向上するため、単位時間あたりの製品出荷量が増加し、結果として製造コストの削減にもつながります。

外観検査の自動化

特に外観検査においては自動化の事例がすでに多くあり、さまざまな業界で導入が進んでいます。

外観検査は、傷・汚れ・色の不一致など製品の見た目に関する品質を確認する作業を指します。外観検査工程を自動化することでこれらの欠陥を精度よく検出し、生産ラインの効率を大幅に向上させることができます。

外観検査の自動化には大きく 「ルールベース検査」「AI検査」 の2つがあります。

それぞれの説明やメリット・デメリット、具体事例をご紹介していきます。

ルールベース検査

ルールベース検査とは、あらかじめ定められた規則や基準に基づいて製品の品質を確認する方法です。 この検査方法は、センサーにより測定された幅や長さなどに対して、具体的な条件や閾値に従って製品を評価します。

使用される技術と方法

ルールベース検査では、通常カメラやセンサーを用いて製品の画像を取得し、その画像を解析することで検査を行います。

画像処理技術

カメラを使用するシステムにおいて、撮影した画像を処理しやすいように加工する技術です。

画像からノイズを除去したり、二値化やエッジ検出と呼ばれる処理を行ったりすることで、機械的な判定を行えるようにします。

パターンマッチング

製品の形状やパターンを事前に登録しておき、それと一致するかどうかを確認します。

このとき、製品の向きや位置のズレ、照明条件の変化などに対して柔軟に対応できるよう、画像の前処理やマッチングアルゴリズムの工夫が重要になります。


メリット

精度が高い

比較的シンプルな手法であるため、撮像環境の調整や高性能なセンサーの導入を行うことができれば100%に近い精度で検査を行うことも可能とされています。

判定基準が厳密で理解しやすい

厚みや幅などの数値的な基準を設定して機械的に判定を行うため、誰から見ても明確に製品を評価することが可能です。

判定基準に問題があった場合の調整も比較的簡単でしょう。

デメリット

柔軟性に乏しい

たとえば複数の傷が重なったような複雑な状況下では、基準値から外れ、誤判定に繋がってしまったり、過剰に検出してしまったりすることがあります。

検査環境の影響を受けやすい

照明や撮像環境の変化によって検査結果が変わってしまい、精度に悪影響を与えてしまう可能性があります。

新しい検査対象やパターンへの対応にコストがかかる

新製品の検査システムを作成する際、改めて撮像環境の整備やパターンの登録を行う必要があり、またその後の調整も含めると、多品種を扱う場合にはコストがかかることがあります。

AI検査

AI検査は、画像認識やデータ解析の技術を用いて製品の外観検査を行います。 従来のルールベース検査と異なり、AIは大量のデータから自ら検査基準を学習していくという特徴があります。 これにより、複雑な欠陥や新しいパターンに対しても柔軟に検出することが可能となります。

使用される技術と方法

AI検査では、数百枚以上の画像からAIモデルを開発し、これを現場に導入して検査を行います。

ディープラーニング

ディープラーニングは機械学習の手法の一つです。

従来手法ではAIエンジニアが試行錯誤を繰り返しながら検査対象の特徴を分析する必要がありましたが、ディープラーニングでは「多層ニューラルネットワーク」と呼ばれる機構により、AIが自ら対象の特徴を抽出し学習を行うことが可能です。

画像認識

ディープラーニングは様々な用途で活用でき、そのうちの一つが画像認識です。

相当量の画像を学習させることで、AIは製品を認識し、さらに欠陥を検出することができます。

データ拡張(画像拡充)

AIモデルの学習には多くのデータが必要で、最低でも数千枚は必要とされていました。これを解決するのが「データ拡張」で、少ないデータから多くのデータを生成する技術です。

関連記事:【画像生成AIを用いた不良品画像の作成】


メリット

検査対象に対する柔軟性

AIは与えられた画像から製品の特徴を学習するため、事前に想定していなかった欠陥やパターンにもある程度柔軟に対応することができます。

検査環境の中での安定性

さらに、AIは照明や撮像環境の変化があった場合にも比較的安定して検査を行うことができます。 ただし、学習データとして与えた画像の状況から逸脱しすぎない範囲であることは重要です。

再学習により改善が可能

一度AI検査を稼働させた後からでも、追加で学習データを与える「再学習」を行うことで、既存のモデルの精度を高めたり、新しい欠陥の検出に対応したりすることができます。

デメリット

専門のエンジニアによる作業が必要

AI検査の導入には、データサイエンティストや機械学習エンジニアなどの専門家が必要となることが一般的で、検査対象である製品への理解を深めながらAIを開発する必要があります。

初期コストや改善のコストが高い

上述の通り、AI検査の導入には専門家の知識や技術が必要となるため、その分の開発費と時間がかかります。 また、場合によっては高性能なコンピュータや製造ラインの改修などの設備投資が必要となることもあります。

精度が低い場合の原因が分かりにくい

ディープラーニングは機械が自動的に検査対象の特徴を理解してくれる一方で、その理解の内容は人間には解釈しにくいことがあります。 このため、思った通りに精度が出なかった場合、その原因を特定するのが難しいことがあります。

一般的には学習データの質の向上をしたり、数を増やしたりすることで精度を高めることができますが、その他にも画像に対するラベル付けの方法を工夫することで改善されることもあります。

ルールベース検査とAI検査の具体的な違い

ルールベース検査とAI検査は、どちらも製品の外観検査を自動化するための方法ですが、その仕組みや特徴にはいくつかの違いがあります。

判定基準の決め方

  • ルールベース検査は人間が事前に決めたルールや基準に従って、製品の品質を判定します。

  • AI検査はたくさんの学習データを使って、AIが自分で判定基準を見つけ出します。

新しい欠陥への対応力

  • ルールベース検査はあらかじめ想定された欠陥は高い精度で見つけられますが、想定外の欠陥への対応は苦手です。

  • AI検査は学習したデータの範囲内であれば、ある程度新しい欠陥にも柔軟に対応できます。

検査精度の比較

  • ルールベース検査は明確な判定基準を設定できるため、特定の条件下では極めて高い精度を実現しやすいです。

  • AI検査は学習データの質と量に依存するため、高い精度を出すには多くの良質なデータが必要です。

検査環境の影響

  • ルールベース検査は照明や撮影環境の変化に影響を受けやすく、安定した検査が難しいことがあります。

  • AI検査は学習データの範囲内であれば、多少の環境変化にも強いです。

導入と運用にかかるコスト

  • ルールベース検査は仕組みがシンプルなので、導入コストは比較的低いです。ただし、新しい検査対象ごとにコストがかかります。

  • AI検査はAIモデルの開発には専門家が必要なので、初期コストは高めです。しかし、一度モデルを作れば、学習を重ねることで性能を上げられます。

判定結果の解釈のしやすさ

  • ルールベース検査は判定基準がはっきりしているので、なぜその判定になったのかを解釈しやすいです。

  • AI検査は判断の基準がAIに依るため人間にはわかりにくいことがあります。

事例紹介

次にルールベース検査とAI検査それぞれの手法が活きる業態や製品を具体的に挙げながら、導入するときのシステム構成や構築の流れについて説明していきます。

ルールベース検査の事例

プリント基盤の部品実装検査

電子部品の製造では、プリント基板や半導体パッケージなどの外観検査にルールベース検査が活用されています。

比較的シンプルな検査項目や判定基準を設定し、コストを抑えながら自動化を進めることができます。

ガラス部品の寸法検査

ガラス部品の高さ・直径・肉厚などが規定の寸法範囲内であるかを確認するのにも、測定可能な数値に基づき行われる検査のためルールベース検査が向いています。

印刷物の文字の色検査

印刷物の文字や図形の色を確認する検査もルールベース検査は適しています。

色の識別が可能なセンサーを用い、その色が規定の範囲内かどうかを厳密に判定することができます。

AI検査の事例

金属製品の表面欠陥検査

金属製品の表面に発生する傷やへこみ、汚れなどの欠陥を検査する場合、厳密なルールの設定ができない場合でも対応できるAI検査が有効です。

過去のエラー画像を学習データとしてAIモデルを構築し、ライン上にカメラなどを設置することで、異常を検出することができます。

食品の規格外品検出

お菓子や加工食品など、不揃いな形状や色合いを持つ食品の検査にもAI検査が活用されています。

正常品に加え、焦げや傷などの異常品の画像をAIに学習させることで、カメラが規格外品を捉えた際にアラートを発信することができます。

農水産物の異物検出

トマトなどの農産物や魚介類などの水産物にもAI検査が有効です。

ライン上に収穫物を載せた際に混ざってしまう異物について、画像をAIに学習させることでこれを検出した際に知らせるシステムを構築することができます。

まとめ

自社製品の品質を高め、製造効率を向上させるにあたっては検査工程の自動化は極めて重要です。

外観検査の自動化にあたってはルールベース検査とAI検査がありますが、特にルールベース検査は測定項目を厳密に評価する場合において有効です。

一方でAI検査は定量化の難しい外観上の特徴を評価する場合において効果を発揮するでしょう。

関連記事:外観検査自動化の始め方


ただし、前述の通り、AI検査は一般的に専門のAIエンジニアが必要であるなどコストがかかります。最後に、AI検査のデメリットとして知られる専門知識・コスト・時間を克服した弊社製品をご紹介いたします。

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